不登校と放送禁止になった泉谷しげるの『黒いカバン』と支配服従関係

 

am3こんにちは、AI-am(アイアム) 吉田 晃子 です。

好きなアルバムって、何回も、何回も、聞くじゃないですか?

歌詞も覚えてさ、「知ってる」の一曲になる。

それなのに、ある日、新たに衝撃を受けるときってありませんか? 何回も聞いて知っていたにも関わらず。

1972年にリリースされた泉谷しげるさんのセカンドアルバム『春夏秋冬』を久しぶりに流していたら、4曲目の『黒いカバン』の歌詞に、どえらく反応してしまいました。

 

『黒いカバン』歌詞

『黒いカバン』の歌詞
『黒いカバン』の歌詞

 

[aside type=”boader”]歌:泉谷しげる
作詞:岡本おさみ
作曲:泉谷しげる

黒いカバンをぶらさげて歩いていると
おまわりさんに 呼びとめられた
おーいちょっとと彼は言うのだった
おいちょっとというあいさつを
くれたことがなかったので
むかっときたのです
すると おまわりは そのカバンをみせてもらいたいといって
さも それが当然なような 顔をした
見せたくなければ見せない
これは当然なのであるから
見せたくないですね というと
おまえは誰だというので
ぼくは人間ですよ と答えたのです
すると おまえは と大きな声でいうので
あなたのお名前は と尋ねると
それはいえない という
それは変ですね
人は会ったなら まして初対面なら
お互に名のるのが最低の礼儀でしょう
というと
おまわりは たてつくのかというので
礼儀知らず というと
なに! とおこったが
思いなおしたように彼は
まあ今度だけは許してやる などといったので
そこでぼくも
今度だけは許してやるといってやった[/aside]

 

「権力」の位置

近ごろのおまわりさんは人当たりがよくなって、学生運動のなごりがあった60年代や70年代のころのような横暴な態度ではないと思いますが、権力の暴力は決してなくなっていません。

 

いまではすっかり、おまわりさんから、「おいちょっと」呼ばわりをされて止められることはなくなりましたが、それはきっと、ちょっとは善良な市民に見えるよう、歳をもらったからなんでしょうね。

(ヤンチャしてたころは「おいちょっと」呼ばわりされてた)

そこには上っ面の「支配-服従」関係が安定して維持されています。

 

おまわりさんと市民。ともに「人間」であるのにね。

権力とは、支配-服従の関係で発揮される力のことです。

 

他人を強制し服従させる力(権力)と依存の上下の関係がそこにあります。

カウンセラーと患者(生徒)もそうですね。

 

姿をみせない圧力

企業というシステムは「平等」という考え方を受け入れるところではありません。

「社長と部下」、「社長と部長」、「大株主と小株主」、、、。企業は、上下関係の決まった縦並びの世界です。

横並びの「みんな平等」の世界を企業とは呼びません。

 

カウンセラーも同じです。自分が上に立っているという立場を、譲ることはありません。

縦並びの世界に疲れ切っている下の者を、もう一度、縦並びの社会にはめこみなおします。

システムから外れそうな子どもに、システムに目を向けさせるのではなく、システムの中にはめこみなおすんです。

不登校の問題を、子ども自身の問題にすり替えて。
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カウンセリングがどういう形で、どんなもくろみをもって日本に入ってきたのか、また、各学校にどうして配置されるようになったのか(学校にカウンセラーがいるのは子どもたちのためではなく学校のためです)、、、

知らないまま受診するより、知って受診されるほうが、自分を見失わないでいられるように思います。

 

安心できる日常の関係

町ではおまわりさんが「えらい人」。

ビジネスでは経営者が「えらい人」。

カウンセリングではカウンセラーが「えらい人」。

教育は先生が「えらい人」。

 

気づかれないように人々の心を操るのが、支配の仕方です。

 

じゃあ、家庭では?

 

縦の序列がいったん身につくと、考えればおかしいと思うようなことでも、知らず知らずに従ってしまっています。

おいちょっと」呼ばわりをする人も。される人も。

 

相手へのわずかばかりの想像力があれば、自分とを置き換えてみることもできるのに、自分が置かれている立場性というものは、まっとうな思考を阻みますね。

問題を観ることは自分の位置を危うくするからでしょう。大人は都合のよい解釈に依存してしまう逃げ場をつくります。

 

岡本おさみさん

春夏秋冬』のアルバムには13曲の歌が入っていて、うち、この『黒いカバン』だけは泉谷さんではなく、岡本おさみさんが書かれています。

岡本おさみさんは、吉田拓郎さんとの楽曲、『襟裳岬』を生んだ人。

しかしながら、『襟裳岬』を森進一さんが歌って日本レコード大賞に輝いたあとも、商業路線には背を向けて、旅をする詩人として生きられたそうです。

 

『祭りのあと』や、『悲しいのは』、『子供らよ』、『黄金の花』、、、もそうなのだけれど、

[aside type=”boader”] おまえは誰だというので
ぼくは人間ですよ と答えたのです[/aside]

この一行に、深夜2時、わたしはガーーーンときたんでした。

 

人間ですよ

この一行に凝縮されている。。。岡本おさみさん、すげーな。

放送禁止になった『黒いカバン』。。。なんでなんやろな?

 

今日のCDと本

『春夏秋冬』/泉谷しげる

 

今 子どもたちのいるところ/小沢牧子

 

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