こんにちは、
AI-am(アイアム)の 星山まりん です。
2018年6月16日、NHK・EテレでLGBTの特集が組まれました。
LGBTの戦後史をテーマにした、ETV特集『Love 1948-2018 ~多様な性をめぐる戦後史~』という番組です。
この特集を観ていて思ったのは、いまよりもずっとマイノリティで、病気扱いされていた時代の言葉のどれもが、現代の不登校と重なるということ。
「変わったひと」が強く生きるために
番組は、大塚隆史さん を軸に進みます。
1979年のTBSラジオ「それゆけスネークマン」での大塚さんの発言が、序盤で紹介されていました。
「さっき強く生きましょうって言ったけども、そのためにもまず自分を受け入れて、自分の気持ちに正直に生きようとする、そんな努力をできるだけ早いうちからすることが、いちばん効果のあることじゃないかしらと思うんだけれども、どうでしょうか。まあ、頑張りましょう」
(1979/8/29 TBSラジオ「それゆけスネークマン」)
これって、ゲイやレズ、バイやトランスジェンダー、さまざまな性的指向・性自認に限ったことではなく、あらゆる生きかたに共通することですよね。
公の学校にうまく紛れられないとか、障害があるとか、「ふつう」とされているものとは違う、「変わった」人間であるとき。
同性愛も不登校も精神病のひとつだった
当時、同性愛は精神病のひとつでした。
不登校もそうです。
異性を愛せないことや、学校に行けないことは、病院へ行って検査し、治療することの対象だった。
現代でさえ、価値観が完全に共通しているわけではないし、不条理なバッシング、差別の対象になることは多々あるけど、それでも時代は変化しつつあります。
幸運にも差別を受けてこなかった人びとのなかにも、「多様性を認めることが人間として立派なこと」みたいな風潮が(風潮にすぎない節はありますが)、以前より広まりました。
日本の不登校も、ほんのちょっとはそれに近づいた。
同性を愛して「しまう」ことにひどく追いつめられていた男性が、1951年、新聞へ投稿した内容が番組で取り上げられていました。
この方の「将来と人生への疑惑に死さえ思い、悩んでいます」という相談を受けた医師からの返答は、
「性の発達が不十分なのです。感情や知の面では常人でも、発達的には異常者なのです。」
「これを治すには、原因が肉体的なものか心理的なものかをたしかめて、前者ならば医学的に、後者ならば異性を得て、その助力によって徐々に是正していくのです」
というものでした。
ごく最近でも、子どもが学校に行けなくなると、心療内科をすすめたり、あわてて連れて行く大人がいますね。
学校側もカウセリングを勧め、スクールカウンセラーが援助をする。
1951年の医師の返答と、大した違いはありません。
すべてのひとの武器になる「プライド」
大塚さんは番組内で、ゲイであることをカミングアウトをするには まず自分がそれをポジティブに捉えていなくちゃ、と言う。
2014年に公開された映画で、まさに『Pride』というタイトルの映画がありました(邦題は『パレードへようこそ』)。
「プライド」という言葉は、日本ではまだ、LGBTとの結びつきがあまり意識されていないかもしれません。
これはLGBTの人びとの自己肯定、誇りをあらわすもので、世界中で行われるパレードの名称にも使われますし、毎年6月を「プライド月間」とも呼びます。
このタイトルは、誇りとしての「プライド」と、パレードをあらわす「プライド」を含んでいます。
1980年代のサッチャリズムにおける実話をもとにした映画ですが、これを観ると、沽券としてのプライドではなく、誇りとしてのプライドが、すべてのひとの武器 であることを感じます。
多様性を認めようとかなんとか言うけれども、まったく同じ人間が存在しないこの世では、社会ははじめから多様の集合体でしかない。
2017年公開の『グレイテスト・ショーマン』も、テーマとしてはちょっと似たものを持っているかもしれません。
すべての学びは平等
こうしてLGBTと不登校を重ね見たとき、不登校に特有な点はふたつあって、
まずひとつは、「頭がおかしい」「精神病」といわれる時代を経て、「かわいそう」と捉えられるようになったことです。
それからふたつめは、ほとんどの当事者が声をあげていないこと。
当事者というのは、不登校をしている、というか、公の学校へは通わずに、どこかでなにかを学んでいるひとたち自身のことです(ほんとうは、公の学校に通っているひとたちも含めて、学びの「当事者」ですが)。
まわりの大人たちが支援とか援助といったものをすることは、もちろん理解がないよりはよっぽど好ましいことなんですが、そればかりというのは、奇妙だとも思う。
ふたつの点はちゃんと結びついていて、この奇妙さには、ひとつめの「かわいそう」という点が強く関わっています。
セクシュアリティにせよ、不登校にせよ、「声をあげないことが悪いこと」では決してありません。
けれどプライドをもっているかどうか、つまり「自分に正直であり、自分の学びを肯定していること」にプライドをもっているかどうかは、ひとを、人生を、まったく変えます。
個人を変え、家庭を変え、社会を変えていく。
LOVE&EQUALITY、すべての愛が平等(2018年東京レインボープライドのテーマ)なら、すべての学びも平等です。
わたしたちの住むところは、そういう場所であるべきだと思う。
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