こんにちは、AI-am(アイアム)の 吉田 晃子 です。
『タクシー運転手 約束は海を越えて』を観てきました。
『タクシー運転手 約束は海を越えて』は、1980年5月に、韓国南部の光州市で、民主化を求めてデモを行う市民に対して、韓国軍が、無差別の逮捕、拘留、一斉射撃により多数の死傷者を出した光州事件をもとにした映画で、
2017年8月2日に韓国国内で封切りされ、1200万人を動員する大ヒットを記録した作品です。
今春、2018年4月21日より、日本でも劇場公開がはじまりました。
(ネタバレはしていません!)
ストーリー
タクシー運転手のマンソプは外国人客を乗せて光州へと向かった。
通行禁止になる前に現地に入れば、滞納している家賃を返せる10万ウォンを支払うという言葉につられ、マンソプはドイツ人記者ピーターを乗せて英語も分からぬまま一路、光州を目指す。
何としてもタクシー代を受け取りたいマンソプは機転を利かせて検問を切り抜け、時間ぎりぎりで光州に入る。
“危険だからソウルに戻ろう” というマンソプの言葉に耳を貸さず、ピーターは大学生のジェシクとファン運転手の助けを借り撮影を始める。
しかし状況は徐々に悪化。
マンソプは1人で留守番させている娘が気になり、ますます焦るのだが…。
出典:『タクシー運転手 約束は海を越えて』パンフレット
軍事政権に屈しない「人間の尊厳」
韓国現代史上、最大の悲劇となった光州事件。
軍政の暴走や、報道の重要さ、民主主義を獲得する歴史の重みなど、光州事件の真実を追い求めたひとりのドイツ人記者と、彼を乗せたタクシー運転手の実話をベースに、
コメディとサスペンス、アクションなど、バランスのいい「映画」に仕上がっています。
光州事件について詳しくなかったわたしも、登場人物とともに事件を体感できるので、運転手さんとおなじ目線で観ることができました。
以前、「その正義感はどこからきたの?」というテーマで、配信をしたことがありました。
観てくださっていた方々からコメントをいただき、みんなで、あ〜かな、こ〜かなと、思考をめぐらせながら、たどりついたこたえは、
正義には、正義 と、正義「感」があるということ。そして、
● 正義は自分のなかにある良心から発生するもので、普遍的。
● 正義感は外部から植え付けられた規範意識や、教え込まれる道徳によるもので、移行的。
となった。
今回、この『タクシー運転手 約束は海を越えて』を観て、そこに、人間の尊厳を加えたいとおもったのでした。
真実は、あなたを、わたしを、ひとりにはしない。
自国の愚政を堂々と作品にして、大ヒットさせてしまう韓国はすごい。
日本では未だ不正がまかり通っていますが、メディアが政府の弾圧を受けて報じるべきことを報じなかった時を経て、情報統制の恐ろしさと、報道の大切さを見事に描き出した『タクシー運転手 約束は海を越えて』。
第90回米アカデミー賞外国語映画賞・韓国代表出品作です。また、第54回大鐘賞、第38回青龍映画賞、第26回釜山映画賞、第37回韓国映画評論家協会賞、第21回ファンタジア国際映画祭など、韓国主要映画賞を総なめにしました。
知らせること、広めること、わたしたちが知ること。