こんにちは、AI-am(アイアム)の 吉田 晃子 です。
「不登校支援」と「多様な教育の選択肢」はまったく別の問題です。
しかしながら、もののみごとに「不登校対策法案」に書き換えられた「教育機会確保法」は支援という言葉をエサに、
登校、不登校関係なく、すべての児童生徒が、多様な学びを選択できなくなってしまう仕組みをつくろうとしています。
もくじ
多様な学び実践研究フォーラム
去る2月24日(土)・25日(日)の両日、早稲田大学戸山キャンパスにて、第5回 多様な学び実践研究フォーラム※が開かれ、
サドベリースクール・デモクラティックスクールの仲間もたくさん参加されました。
※ 多様な学び実践研究フォーラム とは
- 人が「学ぶ」ということ、その権利を社会が保障していくことの意味。そして「普通教育」とは何か。学校、フリースクール、オルタナティブ教育の現場で、そして保護者として、学習者として、あらゆる立場で「子どもの学び」と関わる人々が集い、議論を交わします。
- フリースクール、フリースペース、ホームエデュケーション、あるいはシュタイナー、サドベリー、フレネなどのオルタナティブスクール、さらにはブラジル学校などの外国学校など、多様な学びの実践交流を深めます。
- 多様な学びとその支援の実践を支える制度研究を行います。不登校の子どもの学校外の学びを支える「教育機会確保法」が成立した今、あらためて現状と課題を確認し、未来にむけ、より良い社会の在り方を探ります。
出典:フォーラムの公式サイト
多様な学び保障法を実現する会
「 多様な学び保障法を実現する会 」(旧「(仮称)オルタナティブ教育法を実現する会」)というのがあります。
公の学校以外の多様な学びを認めてもらおうと、未来の社会を生きる子どもたちにとって必要な新しい法律をつくりたく集まった、
オルタナティブ教育を実践する団体や個人、一般の市民、研究者や識者、議員など、多くの方々とつながり、共に実現を目指してきた会です。
※ これまでの活動のご紹介はこちら >>> http://aejapan.org/wp/wp-content/uploads/koremade_20170508.pdf

「多様な学び保障法を実現する会」(旧「(仮称)オルタナティブ教育法を実現する会」)が発足されたとき、わたしも入会しました。
それは、自分が着たい洋服は自分で選べるように、教育もまた、自分が好きなもの、ここちよいものを選んでもいい保障法の実現を望んでいたのと同時に、
不登校問題の解決にむけ、不登校支援をする会ではなかったからでした。(不登校問題のことは次回書く予定でいます)
「教育機会確保法」
多様な学びと法制化をめざすはたらきは、当初の「多様な教育機会確保法」から紆余曲折を経て、2016年12月に不登校支援を明記した「教育機会確保法」として成立しました。
正式名称は「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」といいます。
教育機会確保法は、不登校の子どもに、学校外での多様な学びの場を提供することを目的とした法律で、
学校復帰を大前提としていた従来の不登校対策を転換し、学校外での「多様で適切な学習活動」の重要性を指摘します。
でも・・・ほんとにそうかな?
教育機会確保法は、子どもの権利の確保に機能してるかな?
「教育機会確保法」は不登校支援だけのものとなる
「多様な教育機会確保法」から「教育機会確保法」。つまり、「多様」が消えたこの法律。
学校外の学びの重要性や、休養の必要性は認めています。
しかし内容を見ると、フリースクールや自宅などの学校以外を選択できるという部分は削除され、代わりに、不登校に関する施策の推進が定められています。
フォーラムに参加された、 デモクラティックスクールまんじぇ のスタッフ・今井恭子さんが、教育機会確保法について興味深いことを書かれています。
そもそも私は不登校問題と多様な教育のことは分けるべきだと思っています。
なぜかというと、不登校の問題には学校以外の要素が含まれることも多いからです。
(多くの場合は家庭、親子関係の問題)で、それ以外の要素、つまり学校に合わないという部分については多様な教育が実現したらほとんど解決してしまうことのはず。
そうなると、学校以外の問題が浮き彫りになるでしょう。
つまり、その子が必要としているものがよりはっきりします。
この2つの問題を一緒にしてしまうと、ここがとても分かりにくくなります。
なぜなら、家庭のこと、親子関係のことに向き合うのには多くの場合、痛みが伴うので、それを、うちの子は学校でいじめられたから、とか、学校のシステムに合わなくてとか、そういうことにすり替えることは、あまりに簡単だからです。
このことが日本の不登校問題をとても分かりにくくさせていると思います。
出典:facebook/今井恭子
法律も結果として不登校支援だけのものになり
出典:facebook/今井恭子
普通教育機会確保法を見たことない方のために一部抜粋します。『』は私がつけました。そこに注目してください。
第二条 三
不登校児童生徒 相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する『心理的な負担その他の事由のために』就学が困難である状況として文部科学大臣が定める状況にあるものと認められるものをいう。第八条
国及び地方公共団体は(中略)『学校生活上の困難を有する個々の児童生徒』の状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。第十三条
国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の『休養の必要性』を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者に対する必要な情報の提供、助言、その他の必要な措置を講ずるものとする。
出典:facebook/今井恭子
つまりですよ? 心理的負担を感じ、学校生活が困難で休養が必要な事態にならないと助けないんです。この法律は!
要するに「すごく頑張ったけれど、それでもダメだったのならしょうがないから休んでいいよ」なんです!
なんで一旦辛い思いをさせないといけないのか?!
出典:facebook/今井恭子
今の日本社会の中で、子どもの人権はまだまだ守られているとは言えません。
子どもたちは自分が生きたいように生きる権利を大きく奪われています。
そんな状況に子どもたちをおいておいて、苦しんでからなら助けてあげる、という上から目線の、子どもをばかにしたようなやり方に私も大きな憤りを感じています。
出典:facebook/今井恭子
「不登校支援」と「多様な教育の選択肢」はまったく別の問題。本当、その通りだと思います。
「教育機会確保法」は、もののみごとに「不登校対策法案」に書き換えられましたね。
この記事、コメントもまた読み応えあります!
>>> https://www.facebook.com/kyoko.imai/posts/10214450037740492?pnref=story
第三章 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等
たとえば、今井さんも指摘されていた 教育機会確保法の第三章 第八条、これひとつとってもすごくこわいです。
全文は以下です。
第八条 国及び地方公共団体は、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、児童生徒と学校の教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良好な関係の構築を図るための取組、児童生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握するための取組、学校生活上の困難を有する個々の児童生徒の状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
◆ 国及び地方公共団体は、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、児童生徒と学校の教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良好な関係の構築を図るための取組、
◆ 児童生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握するための取組、
◆ 学校生活上の困難を有する個々の児童生徒の状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする
児童生徒 とは、登校、不登校関係なく、全ての児童生徒ってことです。
この取り組みと、自民党が考える家庭教育論が合わさったら、「家庭教育」の名の下、子どもがいるおうちは家庭のなかまで監視されてしまいます。
学校に行かない子どもがいるおうちへは、いったいどんな支援をするというんでしょうか。
「監視」社会の強化
「多様な学びが選択できる」ことの必要性を感じておられる方は、全体をみれば、まだまだ多くないのが現状かなと思います。
「長い物には巻かれろ」国で、巧みな罠がしかけられているのですから、自分ちの子どもが不登校にでもなんないとその必要性は見えづらく、教育を選択できないことへの危機感にいたらないのはむりありません。
しかし、国家や地方自治体、学校、地域住民などが、不登校だけではなく、登校している家庭にも介入してきて「監視」社会の強化につとむようになれば、どうでしょうか。
「監視」社会の強化は、日本の社会から、「子育て・子育ちの自由」を奪う状況を意味しています。
↑↑ で書いた、不登校の子どもたちを救おうと始まったプロジェクトなんて、序の口なんでしょうね (((( ;゚д゚)))
ピンチはチャンス
教育機会確保法はほかにもこわいことが書かれています。
また、この記事では家庭教育支援法案にはふれていませんが、いずれにせよ、国家が善しとするあるべき教育を、より強く家庭に推し進めてくるんでしょう。
多様な教育ではなく、多様な利権と化す国家主義教育は、ホームスクールをはじめ、家庭教育の自由をなくしにかかります。
学校の「学」は、「学ぶ」の「学」ではなく、「化け学」の「学」なのか? とわたしなんかは正直なところそう思っていますが、
化け学の「学」が、家庭をも会社化・学校化していくのをだまってみてたくない。
人権もなにもあったもんじゃない!
道は人の数だけあるんです!!
法にも政治にも疎いので、疑問におもったこと一つひとつ勉強しながらだから時間がかかりますが、感じた罠はこれからも発信していきます! よろしくね。←決意表明みたいな記事になってもた^^;
今日の本
教育機会確保法の誕生 子どもが安心して学び育つ
学校以外の学びを認めた75年ぶりの大改革。この法律を教育現場でどう生かすか。2017年「教育機会確保法」が、国会で可決成立しました。これによって、わが国の教育制度は新たな段階に進み始めました。しかしこの法律を、不登校の子どもの教育権をどう保障するのか、徐々に発展しつつあるオールタナティブスクールをどのような手順で普通教育に組み込んでいくのかなど、わが国の教育が抱えているさまざまな現代的な課題の解決に活かすにはどうすればよいか、私たちの智恵と姿勢が問われています。
この本では、教育機会確保法がなぜ必要だったかをはじめとして、法律成立に向けた取り組みを紹介するとともに、立法過程において関わってきた国会議員・文部科学省・有識者・不登校当事者・教員・フリースクールやオルタナティブスクール関係者などの当事者が、この法律に込める想いとともに、これからの「教育の道筋」を示します。
義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)
長くなりますが、教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)の全文、貼っておきます。
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目次
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 基本指針(第七条)
第三章 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等(第八条―第十三条)
第四章 夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等(第十四条・第十五条)
第五章 教育機会の確保等に関するその他の施策(第十六条―第二十条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)及び児童の権利に関する条約等の教育に関する条約の趣旨にのっとり、教育機会の確保等に関する施策に 関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定めることにより、教育機会の確保等 に関する施策を総合的に推進することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 学校 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部をいう。
二 児童生徒 学校教育法第十八条に規定する学齢児童又は学齢生徒をいう。
三 不登校児童生徒 相当の期間学校を欠席する児童生徒であって、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学が困難である状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められるものをいう。
四 教育機会の確保等 不登校児童生徒に対する教育の機会の確保、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保及び当該教育を十分に受けていない者に対する支援をいう。
(基本理念)
第三条 教育機会の確保等に関する施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、学校における環境の確保が図られるようにすること。
二 不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること。
三 不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう、学校における環境の整備が図られるようにすること。
四 義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の意思を十分に尊重しつつ、その年齢又は国籍その他の置かれている事情にかかわりな く、その能力に応じた教育を受ける機会が確保されるようにするとともに、その者が、その教育を通じて、社会において自立的に生きる基礎を培い、豊かな人生 を送ることができるよう、その教育水準の維持向上が図られるようにすること。
五 国、地方公共団体、教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること。
(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第五条 地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、教育機会の確保等に関する施策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(財政上の措置等)
第六条 国及び地方公共団体は、教育機会の確保等に関する施策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
第二章 基本指針
第七条 文部科学大臣は、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針(以下この条において「基本指針」という。)を定めるものとする。
2 基本指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 教育機会の確保等に関する基本的事項
二 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等に関する事項
三 夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等に関する事項
四 その他教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するために必要な事項
3 文部科学大臣は、基本指針を作成し、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、地方公共団体及び教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
4 文部科学大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
第三章 不登校児童生徒等に対する教育機会の確保等
(学校における取組への支援)
第八条 国及び地方公共団体は、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられるよう、児童生徒と学校の教職員との信頼関係及び児童生徒相互の良 好な関係の構築を図るための取組、児童生徒の置かれている環境その他の事情及びその意思を把握するための取組、学校生活上の困難を有する個々の児童生徒の 状況に応じた支援その他の学校における取組を支援するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(支援の状況等に係る情報の共有の促進等)
第九条 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒に対する適切な支援が組織的かつ継続的に行われることとなるよう、不登校児童生徒の状況及び不登校児童生徒に対する 支援の状況に係る情報を学校の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者間で共有することを促進するために必要な措置その他の措 置を講ずるものとする。
(特別の教育課程に基づく教育を行う学校の整備等)
第十条 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒に対しその実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の整備及び当該教育を行う学校における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(学習支援を行う教育施設の整備等)
第十一条 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒の学習活動に対する支援を行う公立の教育施設の整備及び当該支援を行う公立の教育施設における教育の充実のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(学校以外の場における学習活動の状況等の継続的な把握)
第十二条 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う学習活動の状況、不登校児童生徒の心身の状況その他の不登校児童生徒の状況を継続的に把握するために必要な措置を講ずるものとする。
(学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援)
第十三条 国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当 該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。)に 対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。
第四章 夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供等
(就学の機会の提供等)
第十四条 地方公共団体は、学齢期を経過した者(その者の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから満十五歳に達した日の属する学年の終わりまでの期 間を経過した者をいう。次条第二項第三号において同じ。)であって学校における就学の機会が提供されなかったもののうちにその機会の提供を希望する者が多 く存在することを踏まえ、夜間その他特別な時間において授業を行う学校における就学の機会の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。
(協議会)
第十五条 都道府県及び当該都道府県の区域内の市町村は、前条に規定する就学の機会の提供その他の必要な措置に係る事務についての当該都道府県及び当該市町村の役割 分担に関する事項の協議並びに当該事務の実施に係る連絡調整を行うための協議会(以下この条において「協議会」という。)を組織することができる。
2 協議会は、次に掲げる者をもって構成する。
一 都道府県の知事及び教育委員会
二 当該都道府県の区域内の市町村の長及び教育委員会
三 学齢期を経過した者であって学校における就学の機会が提供されなかったもののうちその機会の提供を希望する者に対する支援活動を行う民間の団体その他の当該都道府県及び当該市町村が必要と認める者
3 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
4 前三項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。
第五章 教育機会の確保等に関するその他の施策
(調査研究等)
第十六条 国は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者の実態の把握に努めるとともに、その者の学習活動に対する支援の方法に関する調査研究並びにこれに関する情報の収集、整理、分析及び提供を行うものとする。
(国民の理解の増進)
第十七条 国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、教育機会の確保等に関する国民の理解を深めるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(人材の確保等)
第十八条 国及び地方公共団体は、教育機会の確保等が専門的知識に基づき適切に行われるよう、学校の教職員その他の教育機会の確保等に携わる者の養成及び研修の充実 を通じたこれらの者の資質の向上、教育機会の確保等に係る体制等の充実のための学校の教職員の配置、心理、福祉等に関する専門的知識を有する者であって教 育相談に応じるものの確保その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(教材の提供その他の学習の支援)
第十九条 国及び地方公共団体は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者のうち中学校を卒業した者と同等以上の学力を修得することを 希望する者に対して、教材の提供(通信の方法によるものを含む。)その他の学習の支援のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(相談体制の整備)
第二十条 国及び地方公共団体は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者及びこれらの者以外の者であって学校生活上の困難を有する児 童生徒であるもの並びにこれらの者の家族からの教育及び福祉に関する相談をはじめとする各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係省庁 相互間その他関係機関、学校及び民間の団体の間の連携の強化その他必要な体制の整備に努めるものとする。
附則
(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して二月を経過した日から施行する。ただし、第四章の規定は、公布の日から施行する。
(検討)
2 政府は、速やかに、教育機会の確保等のために必要な経済的支援の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
3 政府は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育を十分に受けていない者が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、この法律の施行後三年以内にこの法律 の施行の状況について検討を加え、その結果に基づき、教育機会の確保等の在り方の見直しを含め、必要な措置を講ずるものとする。
理由
教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進するため、教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他の必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
>>> 文部科学省のサイト