こんにちは、
AI-am(アイアム)の
よっぴー です。
発売当初から何度となく読んできた『鉄コン筋クリート』/松本大洋さんの漫画。
読むたびに見えてくるものが異なる作品で、何回読んでも考えさせられます。
前回は、「自立」について考えた〜(後述)。
ハウツー本とちがって、漫画ってこたえは載っていないから、いま自分が課題にしている考え事が浮き彫りになるんですよね。
で、今回。前回から3年ぶりぐらいに読んだのですが、すっごいことに気がつきました!
『鉄コン筋クリート』には、自分を由として生きる力のつけ方(というか、取り戻し方というか)が載ってたー!
この大発見(笑)をみなさんに聞いてもらいたくって、記事にしてみました〜。
もくじ
自分を由として生きる力のつけ方
『鉄コン筋クリート』に載っていた、自分を由として生きる力のつけ方(というか、取り戻し方)がどんなのかというと、
それは、「自分のなかに棲むイタチと向き合う」なんですね。
イタチは、少年の間で伝説になっている「餓鬼」のことで、「頭が牛で、体が人間」「愛を捨て、暴力だけを信じる餓鬼」。
闇の力をもつイタチは、クロ(主人公のひとり)を悪のみの世界へと誘います。
「自分のなかに棲むイタチと向き合う」
が、イタチの正体は、クロ自身が創りあげた、もう1人の幻覚の自分なんですね。
クロは11歳〜 あたりの年齢だとおもうけれど(もう1人の主人公シロは11歳と描かれている)、成長していく段階で絶対的に必要な時に「自分のなかに棲むイタチと向き合う」をした。
それは依存心と独立心の衝突であり、クロは死に物狂いでイタチと向き合い、社会的意識の核を身につけたんだとおもうんです。
イタチを追いだすのではなく、イタチを容認する
しかしながらこの社会的なおとなになるための通過点を、少年期にうまく通過できなかったおとなはあまりに多いです。
そのためイタチを自分のなかに棲まわせたままなんですよね。
イタチは言います。
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連中は(わたしたちのこと)、真実とはかけ離れた会話であいそ笑いする。
真実の直視を恐れて偽善を身にまとう。
[/voice]
ほんとその通りです。
本来なら自分の想いを相手に伝わるように話せばいいだけのことを、その責任をとらないで(つまりは自由を放棄して)何事もなかったかのように振舞い、相手に怒ったり、泣いたりする。
おとなが持つ悩みの多くは、こども時代に受けた、誤った扱いの結果なんでしょうね。
だけどそういうまちがいは、自らがおとなになってからでも取り返せることも、『鉄コン筋クリート』は示していました。
松本大洋『鉄コン筋クリート』
『鉄コン筋クリート』(てっコンきんクリート)は、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載された松本大洋による漫画、またそれを元にした劇場アニメ(2006年12月23日公開)。
1993年から1994年にかけて連載された。全33話。松本大洋の出世作であり、代表作とも言われる。
タイトルの由来は作者の松本が幼少期、どうしても「鉄筋コンクリート」を「鉄コン筋クリート」としか言えなかったことによる。
出典:wikipedia
↓ コミック全3巻。100万部を突破した「伝説的な傑作漫画」と呼ばれているそうです。
↓ こちらは2006年に公開された劇場アニメのDVD(Blu-rayの写真はこちら)
『鉄コン筋クリート』あらすじ
『鉄コン筋クリート』の主人公は、ふたりの少年で、名まえはクロとシロ。
あらすじは、こんなです。↓↓
義理人情とヤクザが蔓延る町・宝町。そこに住む<ネコ>と呼ばれる少年・クロとシロは、驚異的な身体能力で街の中を飛び回ることが出来た。
そんなある日、開発という名の地上げでヤクザ、3人組の殺し屋、蛇という名の男性が現れる。更に、実態不明の “子供の城” 建設プロジェクトが立ち上げられる事になり、町は不穏な空気に包まれる。
出典:wikipedia
↓ 左がクロ。右がシロ。
主人公の少年クロとシロ
クロ ?歳
シロと共にホームレス同然の暮らしをしており、廃車の中で寝起きしている。カツアゲやスリ、強盗などの犯罪を生活手段として暮らしている。驚異的な身体能力を持っており、町中を “とぶ”。ケンカは相当強い。右目に傷痕がある。
宝町で調子に乗る人間とシロを傷つける人間は誰であろうと許さない。シロを守ることが自分の存在意義と信じ込んでいる。シロの身の回りの世話は、ほとんどクロがする。しかし、実際はクロがシロに依存していた。
ある日から蛇の手下に狙われるようになり、住んでいた車にも帰れなくなる。シロが腕時計などを諦められなかったため、一人で車に取りに行った際に、シロが手下に刺されて入院。その間、シロは藤村たちに無理矢理保護された。回復し、シロの身の安全を考え、シロにわざと見放す発言をした。シロと離れてからクロの精神バランスも崩れ、荒れた生活を送る。
出典:wikipedia
シロ 11歳
クロ同様 “とぶ” ことができる。ケンカは主にクロの手助けをするサポーターに近い。時計を好み、襲った相手から時計を奪い両腕に何本もつけている。変わった帽子と腕時計をたくさん持っている。右目に泣きボクロがある。
純粋で正直な性格。ワガママで泣き虫。誰にでも愛想良く、すぐに懐く。絵を描くのが大好き。小学校へ行きたがっている。パンツをクロに履かせてもらったり、公衆電話で1日の報告をする遊びをしたり、「もちもーち(もしもし)」と話したり、逃げた際にガラクタ同然の持ち物を諦めることを拒んだり、一人遊びをしたりと言動は幼稚園児と変わらない。予知能力のようなものを持っている不思議な子供。
藤村に無理矢理保護されてクロと引き離され、沢田に面倒を見てもらっていたが、次第に精神バランスを崩していく。
出典:wikipedia
靴下ってどうして左右おんなじのを履くんだろう?
どの本や映画(音楽や絵とかもそうだよね!)にも言えることだけど、読むたびに、観じる(感じる)ことがちがったりってあるじゃないですか?
『鉄コン筋クリート』もそうでした。
はじめて読んだときは、
靴下ってどうして左右おんなじのを履くんだろう?
(靴もだけど、靴は左右異なるのを履くと、歩行が疲れることを自分で試してみて知った。だからおんなじ靴の色違いを2足買って、左右ちがう色を履いたりするのを楽しんでた)
靴下ってどうして左右対で一足として売られてるんだろう?
(だから、2つで1足なんじゃなくて、1つずつ売るショップをパリで開こうと考えてた)
っておもってたころだったから、1巻のしょっぱな、カラーページのシロのところで、読むのが止まりました(笑)。
(1巻のしょっぱな、カラーページのシロを指差して)
[voice icon=”https://ai-am.net/wp-content/uploads/2019/09/7-yoppy-mini.png” name=”よっぴー” type=”l”]
ほらね! ほらね!!
これがおかしいっておもうのは、「常識」ってやつに犯されているからだよ!
じゃあ、「対」ってさ。。。
[/voice]
なんてパートナーに言って、「対」についてのおしゃべりをしたものでした。
シロとクロ、善と悪、光と闇、、、それら相対する要素が絡まった作品だなって。白黒つけて、単純に二分するんじゃなくてね。
クロの無い所のネジ、シロがみんな持ってる
「混沌」についてだったり、「りんご」から
を読んだり、、、考えさせられることは、その都度、変化します。3年ぐらい前『鉄コン筋クリート』を読んだときは、「『ひとりで生きていく』力ではなく、『人の力を借りる』力が自立なんだな」っておもったりしました。
『鉄コン筋クリート』に有名(?)な言葉があるんですね。
「クロの無い所のネジ、シロがみんな持ってる」
神さまが人間をつくったでしょ。
どしてみんな同じにつくらなかったかな?
デブっちょ、やせっぽち、ノッポ、チビ助。こわい人、やさしい人、いろいろ。ちっぱいしてんの。神さまいっぱい。
シロつくる時は、神さまでかくつくり過ぎたカバの口みて反省してたのきっと。だからシロいっぱいネジ無いの。心のネジ……。
それで、クロもね、いっぱいネジ無いの。心のネジ。でもクロの無い所のネジ、シロが持ってた。
シロがみんな持ってた。出典:『鉄コン筋クリート』第3巻 P31〜P33
完璧に、完璧なネジをもつことが、自立なのではなくって、
また、足りない部分を否定して、自分でなんとかするんでもなくって、
足りないことは、
困っていることは、
言えばいい。助けてもらえばいい。
クロははじめ、自分のことは自分で護る。シロのことも自分が護っているとおもっている。
けれどもそうじゃないことを知っていくんですね。
助けてもらっていること、助けてもらうこと、助け合っていくことを知り、そうして支えあって生きていく、それこそが自立なんだあな、とわたしも知りました。
子ども時代の仕事
で、今回にいたるわけですが。。。
クロは、少年が成長していくあるひとつの段階で、「俺の街」が壊されていくことへの自分の想いと対峙し、問題の「本質」を考え抜いた。
道徳を教えられる前に、愛他心を育てられた人は、白黒(許す・許さない)ではなく、好きかどうか、心地いいかどうか、楽しいかどうかで、ものごとを判断していけるんだあ、って
- したいことがあるけど勇気がなくてできない…
- 怒られるのがこわくて…
- 嫌われるのがこわくて…
- どうしたらいいのかわからなくて…
と悩むのって、
イタチがむくむくと現れているとき。
「いい子」は卒業して、自分を出していくとき。
この記事→『 子どもはどんな相手になら話をするのか? 』を投稿したあと、 海琳 さんとしゃべっていて、
たとえば、「(教室で)前に座ってる子の背中、えんぴつでツンツンしたってん」と親に話したとしたら、
親は、「何やってるの! そんなことしたらダメでしょ!」と怒るのだろうけど、
これってつまりは、こどもの言動に対して、すぐさま白黒つけちゃう言い方をしてるよね。
でもなんで、すぐさま白黒つけちゃうのか?
そこんとこを話していたら、『鉄コン筋クリート』の話になって、映画を観だしました。
映画を観おわったあと、読みたくなって、漫画を読みました。
こちらまで幸福になるラスト、宝物の作品です。
今日の本
鉄コン筋クリート
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文庫本もあります↓↓↓
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