『夢みる小学校』きのくに子どもの村学園のドキュメンタリー映画の感想 - これは「普通」? これは「自由」?

こんにちは、
AI-am(アイアム)のよっぴー、まりんです。

きのくに子どもの村学園のドキュメンタリー映画『夢みる小学校』が2022年2月に公開されます!
先日、一足先に拝見したので、感想とともに作品をご紹介します。

きのくに子どもの村学園とは?

映画『夢みる小学校』の舞台となったきのくに子どもの村学園(http://www.kinokuni.ac.jp/)は、テストや宿題などを用いることなく、独自のカリキュラムによって運営されている学校です。

「感情、知性、人間関係のいずれの面でも自由な子どもに育ってほしい」という思いから、1992年に開校したきのくに子どもの村学園。
現在は、全国に5つの小中学校と、1つの高校があります。

全国のきのくに子どもの村学園

  • きのくに子どもの村小中学校(和歌山県橋本市)
  • かつやま子どもの村小中学校(福井県勝山市)
  • 南アルプス子どもの村小中学校(山梨県南アルプス市)
  • 北九州子どもの村小中学校(福岡県北九州市)
  • ながさき東そのぎ子どもの村小中学校(長崎県東彼杵郡東彼杵町)
  • きのくに国際高等専修学校(和歌山県橋本市)

現行の一条校*とは異なった教育理念や方針をもつオルタナティブスクールの中でも、きのくに子どもの村学園は、学校法人として認可されているというのが特徴的です。

※一条校…学校教育法第一条で定められた学校(みんなが知っている一般的な学校)

オヤトコ発信所で「きのくに子どもの村学園」をご紹介した記事はこちら

『夢みる小学校』映画を通して子どもの村へ

ドキュメンタリー映画『夢みる小学校』(オオタヴィン監督)は、山梨県南アルプス市にある「南アルプス子どもの村小学校・中学校」を中心に、こどもたちの学校生活の約1年間を映し出しています。

きのくに子どもの村学園の学習の中心であり、週14時間を費やすという「プロジェクト」の過程をメインに(「プロジェクト」については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています)
入学式・卒業式などの行事、大人(スタッフ、先生)や、校長・堀真一郎さんへのインタビューなどなど……。

「楽しい学校」としてのきのくに子どもの村学園へ、画面を通して入っていくことができます。

また、きのくに子どもの村学園は私立学校ですが、作中では、通知表や時間割のない伊那市立伊那小学校や、定期テストを廃止した世田谷区桜丘中学校など、公立校での実践も紹介されています。

伊那小学校の福田校長桜丘中学校の西郷前校長のお話のほか、

茂木健一郎さん尾木直樹さんが子どもの育ちや学校教育について語られたり、
実際にこどもさんをきのくに子どもの村学園へ通わせられている高橋源一郎さんが感じられたこと、
担当するゼミできのくに子どもの村学園出身の学生と直接関わられてきた辻信一さんのお話などなど、

外部から見たきのくに子どもの村学園の長所も、映画に収められています。

印象に残る「あぶなっかしい」こどもたち

『夢みる小学校』は、大人はあくまで補助的な存在として、こどもたち、こどもの動きを中心に据えた画作りが多く、こどもたちがいかに「それ」と向き合っているかが強く伝わってくる映像でした。

低学年くらいの年齢に見える男の子がふたりだけで木片を切っている短いシーンがあるんですが、わたしたちにとっては、これがとても印象的でした。

椅子の上に木片を置いて、ひとりがノコギリを持って切ろうとするけれど不安定で、揺れるし、うまく刃が入らないので、もうひとりの男の子が木片を手でおさえるんです。
誰がどう見ても「あぶなっかしい」けれど、これこそが核心的なシーンだと思いました。

また、学校教育についての大人の目線(校長の堀さんをはじめ、有識者の方々)が豊富に盛り込まれているので、「安心」を得たい大人にとっても、観ていて不安にならずに楽しめる映画だと思います。

「いい学校だから」ではなく、さまざまな感じ方を出発点に

きのくに子どもの村学園の教育をすばらしいと思うか、これこそが「普通」であるべきだと思うか、
もっと明確に子どもに「教える」をするべきだとか、魅力的だけどやっぱり「普通」じゃないと不安だとか、
これは結局「自由」でもなんでもないとか、いろんな感じ方、考え方があると思います。

だからこそ『夢みる小学校』は、オルタナティブ教育に携わる方だけでなく、公教育以外を知らなかった方にも観てもらえたらいいな、と感じました。

どんな感じ方であっても、きのくに子どもの村学園が「いい学校だから」ではなく、私立校として存在していることを出発点に、学校を考え直していける機会になると思います。

なにより、学校はひとつじゃないということを知る機会になるから!

  オルタナティブスクールのひとつ、「新田サドベリースクール」のドキュメンタリー映画『屋根の上に吹く風は』の感想を書いた記事はこちら

映画『夢みる小学校』公開情報

『夢みる小学校』
公式サイト https://www.dreaming-school.com/

監督・撮影・編集:オオタヴィン
出演:堀真一郎(きのくに子どもの村学園学園長)、福田弘彦(伊那市立伊那小学校校長)、西郷孝彦(桜丘中学校前校長)、茂木健一郎(脳科学者)、尾木直樹(教育評論家)、辻信一(文化人類学者)、高橋源一郎(作家)

宿題がない、テストがない、「先生」がいない。
「きのくに子どもの村学園」の子どもたちは「プロジェクト」とよばれる体験学習の授業を通じて、
自分たちでプロジェクトを運営し自らの頭で考えます。
「楽しくなければ、学校じゃない」と、子どもの村のスタッフは口をそろえます。
キラキラした目で笑顔で学ぶ小学生の姿を見た事がありますか?
学校って、本当はこんなにわくわくする場所だったのです。
学校観が180度変わる”うれしい衝撃の授業風景”をご覧ください。

引用:『夢みる学校』公式サイト

劇場情報

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